英語習得論
日本の英語教育をめぐっては、昔から様々な議論がなされてきて、そのたびに英語教育政策が揺れ動いて現場レベルでの混乱を招いてきた。古くは、中学校での英語授業週3時間制や、いわゆるコミュニカティブ・アプローチの援用、外国人指導助手制度の導入など、また新しいところでは、小学校での英語教育の必修化などである。そして、これらに関わっては、専門家であるかどうかを問わず、多くの人々が多様な意見を述べてきているのであるが、その多くが、外国語習得の一般的構造を踏まえず、自らの経験を一般化するという形のものであるために、それぞれが一面の真理を突いてはいるが、全体を見通すものにはなっていない、という印象を受ける。
英語をどう教えたらいいのか、或いはどうやったら効果的に習得できるのか、という問いには、外国語習得というものが一般的にどういうふうに進んでいくものなのかということを、その内的構造の面から解き明かし、そこから指針を導き出してこなければ、適切な解答を与えることができない。そこで、ここでは、そのような一般論を媒介とした英語習得の構造を考察してみたい。