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古賀恵介の部屋

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共有認識

社会の中で、諸個人は労働の成果の共有・分配・交換を通じて結びついている。この結びつきは、社会の原初的段階においては、食糧を中心とする生活物資の調達がその主要部分を構成している。そして、この段階においても既に、動物段階とは比べ物にならないくらい複雑な認識の共有が必要である。なぜなら、食材となる動植物がとれる場所に関する知識、衣服・建物の素材となる物資の入手場所、それらの物資の加工技術などなど、多岐にわたる高度な認識は教育(認識の共有の一種)を通じてしか伝達・継承することはできないし、、それのみならず、労働の成果の共有・分配・交換をスムーズに行なっていくためには、諸個人間の協力関係(秩序)の維持を可能とするような種々の取り決めの認識(規範)を成員間で共有していなければならないからである。

社会は、道徳・慣習・法などの様々な規範を創り出し、それに諸成員を従属せしめることにより、多種多様な人間関係・役割関係を社会的に固定した存在物として確立してきた。これらを制度という。制度は社会的存在物であるので、社会の諸成員が認識の共有を通じてその存在を承認し、それに従って行動することによって初めてその存在を維持することができるものである。例えば、政府・法律・権利・通貨などの社会的制度は、みんなが「ある」と思って行動するからこそ存在し得るものなのである。

更新情報

2016年9月12日NEW
ページデザインを一新しました。
2013年7月1日
言語論下のページを改訂しました。
2009年11月23日
認識論下のページを改訂し、社会と文明共有認識を追加しました。
2009年11月12日
子育て認識の自由性を追加しました。
2009年11月9日
認識論を追加しました。