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雑記 2008年5月7日

数字のコンマ区切り

毎学期、授業のテキストの中に million という単語や桁の多い数字が出てくると、英語の桁名と数字のコンマ区切りの話をすることにしている。

御存じの方も多いと思うが、英語(アメリカ英語)では、数字が千(thousand)より大きくなると3桁ごとに新しい桁名が出てくる。そして、その新桁名の前がコンマで区切られる。

one1
ten10
hundred100
thousand1,000
million1,000,000 (百万)
billion1,000,000,000 (十億)
trillion1,000,000,000,000 (一兆)

といった具合である。そして、この3桁区切り表記法は日本社会でもすっかり定着してしまっていて、帳簿・領収書やその他の書類での金額表記などにはごくごく当たり前のように使われている。この3桁区切り表記法、日本語の桁名の変わり目とずれるので日本人にとって読みにくさはあるが、英語だと、25,556,700なんていう桁数の多い数字であっても 25 million 556 thousand 700 というふうに頭の中で瞬時に変換して読みをつけることができて便利である。

ところが、こういうことを知らない学生が非常に多い。というより、ほとんどの学生は知らない。毎学期、授業で尋ねてみるのだが、知っている学生はクラスに一人いるかいないかという程度である。もちろん、そのことで学生たちを嗤うつもりはない。というか嗤えない。私だって、大学になるまで知らなかったのだ。そもそも、英文科出身の私でさえ、中学から大学卒業までを通して英語の授業でそんなことを習った憶えはなく、知ったのは英語に関する雑学本の中でのことであった。(加えて、高校までの数学の授業で、3桁区切り表記法のことを教わった憶えもないのだが、現在はどうなのだろうか。)

こういうことは、高校の英語の授業で million や billion といった単語を教えるときに、ついでに教えてくれると、数の呼び方に関する知識の定着度合も違ってくるんじゃなかろうかと思ったりもする。私自身もそうだったが、高校や大学でも、英語の数の呼び方なんて、thousand より上になるとぼんやりした知識のままで終わってしまうからだ。「11万って英語で何て言う?」なんて訊かれたら、「え~っと eleven ・・・う~んと・・・わかんない」となるのが普通だろう。数字の呼び方を数体系と対応させる形で憶えておかないと、11万は a hundred ten thousand(110×1000)なんていう発想自体が出てこない。ましてや、million だの billion だのといった巨大な数字のイメージは湧いて来ようがない。(million に関しては、日本語でも「ミリオンダラー」だとか「ミリオネア」なんて言葉を聞くことが多いので、知っている学生も多いが。)

以上のような理由で、毎学期どのクラスでも一度はこの話をするようにしているのだが、果たしてどのくらいの学生がそのことを後々まで憶えていてくれるか、それが一番の問題だったりして・・・。

補 足

因みに、billion 以上の桁名に関してはアメリカとヨーロッパで違いがある。簡単に言えば、アメリカ式では、ここで紹介したように千倍ごとに桁名が上がって行くのに対して、ヨーロッパ式では百万倍ごとに桁名が上がっていく。イギリスは、以前はヨーロッパ式を採用していたが、現在ではアメリカ式になっているようである。こちらに詳しい説明があるので参照のこと。

それから、アメリカとヨーロッパにはもう一つ厄介な習慣の違いがある。日本では、小数点にピリオド、桁区切りにコンマを使うのが普通であるが、これは、アメリカの習慣がそのまま定着したものである。ところが、ヨーロッパに行くと、逆に小数点にコンマ、桁区切りにピリオドを使うのが一般的なのである。これだと、科学や経済の分野での国際的コミュニケーションには不便なのではないかと思うのだが、文化的威信の問題があってか、国際的機関でも未だに正式には統一されていないようである。

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